――コーヒーの残り香が漂う、どこかのうさんくさい中継所にて――
【ベルリナ】「さあて!団長の珈琲をいただいたところで・・・・・・
本日のゲストは、こちらの方!かんたんな自己紹介をお願いします」
【カノー】「ははーっ。では、改めまして・・・・・・
執事の”カノー”でございます。
グラムース城のあるじ、ルルお嬢様にお仕えしております」
【カスガ(団長)】
「ルルお嬢さんは、プリムランドでは一、二を争う有名人だな。
ふたつの城のうちの一つと、広大な土地の主で、若いのによくやるぜ」
「あたし、まだ会ったことがないから・・・・・・
カノーさん。ルルさんのご紹介も、かあるくしてもらえますか?」
「ははっ。ルル様というのが――――
画面の右【ABOUT】内にて、まさしく怒髪天をつく御面相の乙女。
ふだんはまことにお優しい・・・才色花実、兼ね備えたお方でございます」
「すげえな・・・オレも顔はでかい方だが、ブチ切れたルルさんはそれ以上だ」
「そこ!デリカシーのないこと言わないの」
「さてっ、今回はドット絵姿の紹介に入る前に、
ある”写真”が番組に届いておりまして、
それについて、カノーさんの御意見をうかがいたいと思います」
「ほう?”写真”ですかな」

「おお。昨年のハロウィン・パーティのときのだな」
「・・・ああっ!ああああああッ!!!!!!!」
「コスプレしてかんかんに怒ってるのが、主人のルルさんね。
で、手前でぬすみ撮りを隠しながら、汗かいてるのが・・・」
「い・・・・・・いつのまにこのようなお写真をッ・・・・・・」
「はー・・・・・・・・・・・・やるもんだねえ」
「うしろで倒れてる子は、カノーさんのお友達?スケベ共同体??」
「・・・・・・もはや、なにひとつ、弁明の余地もございますまい」
「・・・フフ。そう青筋たてなさんな。珈琲もう一杯どうだい?
あんたもゲンコツ喰らったんだかして、結局は許されたんだろ。
花も実も備えたお姫様なんだ、ちょいと邪な出来心もむりねえよ。な?」
「いやはや、汗顔の至り・・・・・・。
我ら一同、時折お嬢様の前では少年になりまする」
「ははは。じいさんまで虜にするなんて、さすがはお嬢様だよなあ」
「むっ・・・・・・なんだろ、ちくっとジェラシー(ポリポリポリ)」
「直に、尻をかくな・・・・・・じかに。
いっそ、ルルさんとお近づきになって、レディのたしなみを習えたらなあ」
「もうー・・・・・・だって・・・・・・」
「いやいや・・・・・・ベルリナ様、貴女もたいへんに魅力的なお方。
前回よりカスガ様とのやりとり、拝見しておりましたが、
すなおなお心、虚飾ない立ち振る舞い――紛れなき貴女の、気品でございます」
「え・・・、えっ?あたしの・・・・・・気品?」
「お二人とも、是非お城にお招きしたいものです。
お嬢様の新しい御友人として、このカノー、胸を張って御推薦する所存」
「!えっ・・・・・・うそ・・・・・・カノーさん、本当・・・・・・!?
団長・・・・・・団長っ!お友達・・・・・・って」
「おお・・・・・・。執事さん、俺とて願ってもないことさ。
よかったなあ。ベルリナ。待望の同年代の友達じゃねえか」
「うんっ!!うれしい・・・・・・すごくうれしいです!」
「よーし、場も和んだところで、アレ、持ってくらあ!」

「ありがとうございます。
こんなじじいにまでドット絵姿が用意されているとは
恐悦至極・・・万感の限りにございます」
「・・・そりゃあ、絵がなきゃ出演もできねえだろう」
「スーツの赤は、カノーさんの趣味?」
「いえいえ。いやしくも城内の使用人を束ねる身として、
少しでも引き立つようにとの、ルル様からの御仕着せにございます」
「へえっ・・・ルルさんが用意してくれたんだ」
「お嬢さんもなかなか気を利かせるじゃねえか」
【??】「さよう!!我ら一同、そんなお嬢様にお仕えすることこそ喜び!」
「!!?・・・・・・びっくりしたぁ」
「これこれ!お二人に対しぶしつけであるぞ。
まこと申し訳ありません・・・・・・この者共、我らが城の使用人でございます」
「使用人Aです!時給はバナナ2本であります!で、こっちがB」
「・・・・・・庭の菜園と、草花のお手入れをやっております・・・・・・」
「なんだよ。きてたんだったら、最初から遠慮せず入ればいいのに」
「いえいえ!われら、たった今早馬で到着したのです」
「執事・・・・・・一大事です。今年のプール開き用に調達したルル様の水着、
我々が改造したことが、メイドの猿達を通してルル様にばれました・・・・・・」
「・・・・・・な!?なんじゃとっ!!!!」
「・・・・・・改造って?」
「そ、その、いわゆる水泳時のさらなる軽量化のために、
ぬ、布の面積を若干、減らしたのであります!」
「むむ・・・・・・メイドめ・・・・・・裁縫室の切れ端をおさえたのじゃな・・・・・・」
「・・・・・・アホじゃ」
「・・・・・・執事、私たちはじめ、共謀者はみな覚悟をきめました」
「うむ・・・・・・カスガ様、ベルリナ様。
一度ならずお恥ずかしいところをおみせいたしました。
お時間も迫ってきた頃合・・・・・・本日は、誠にありがとうございました」
「お、おう・・・・・・いろいろ大変そうだが、
こちらこそ、楽しかったぜ。また飲みにきてくれよな!」
「お友達の件――もしも叶わなくても、ほんとうに嬉しかったです。
でも、お返事・・・・・・楽しみにしちゃいますね!」
「はは、ベルリナ様!ぐっと自信をおもちなされ。
では!またお目にかかりましょう」
「失礼いたしますッ!」
「生きてお会いできましたら、次回は、ちゃんと名乗り申し上げます・・・・・・」
――執事と使用人2名、退場――
「・・・何だかんだで、仲のよさそうな一家だな」
「・・・・・・いいなあ・・・・・・いいなあ・・・・・・」
「んあ・・・・・・どした??」
「ベルリナ、ルルさんみたいに、魅力的になりたい・・・・・・」
「んー・・・・・・まあ、ルルお嬢さんは、ルルお嬢さんだからな。
――――だけどよ、さっきじいさんも言ってたが、
お前にはお前だけの、何つうか、すなおな魅力があるんじゃねえか」
「団長・・・・・・いっつもあたしのことツッコンでばかりじゃない。
本当にそう思ってる?」
「おいおい、何年一緒にやってきてるよ。
・・・じいさんさえ言い当てたお前の魅力が、俺にわかんねえ訳ないだろ。
お前について、あんだけマトを得た表現も、そうはないぜ」
「・・・・・・ホント?ホントに、わかってくれてるの?」
「カスガの辞書に二言はねえよ。
さ、おひらきの珈琲でもいれるか・・・・・・」
(ばふっ)
「お、おい!何だなんだ・・・・・・」
「えへへ・・・・・・だんちょ・・・・・・えへへへ・・・・・・・
・・・・・・おひらきの珈琲、いただきます!
今日は、ミルクは・・・・・・なしでいい」
「・・・・・・ほお・・・・・・珍しいな。
じゃあ、ちょっと甘めの、ブルボン・ブレンドにするか」
「きゅううんっ・・・・・・だんちょ・・・・・・だんちょっ!」
(・・・・・・たく。
つくづくカメラの前に向かねえよな・・・・・・)
――物陰にて、覗き見するおさるたち――
「(執事ーッ!執事のおっしゃったとおり、ごちそうさまでありますッ!)」
「(いやはや・・・悪いと知りつつも、いたずら心に逆らえぬのがおさるの宿命。
さあ、そろそろ戻りましょう・・・・・・おしおきが待っております)」
「(カスガ様、ベルリナ様、なにとぞご容赦を・・・・・・。
いずれお城にお招き出来る日を、心待ちにしておりますぞ・・・!)」
